つげ櫛屋【くしのみせ泉】

は大阪府の伝統工芸品である『和泉櫛』の通販専門店です。

 

 つげ櫛、つげブラシはプラスチックなどの櫛やブラシと異なり静電気が起りにくいので、枝毛や切れ毛になりにくくキューティクルを傷めません。

しみこんでいる椿油が髪に潤いと栄養を与え、乾燥による髪のパサつきやきしみをやわらげてくれます。梅雨の時期でも髪の広がりを抑えまとまりよく してくれます。

美髪を目指すのならば、つげ櫛がおすすめです。


 



皆様に、非常に悲しいお知らせをしなければなりません。


当工場の主人であり、私の師であり、父である塩谷正二が
2016年5月20日に71歳の生涯を閉じることとなりました。
ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます。

 
昨年初旬に肺に癌が見つかったときにはもう既にあちこちに転移しており
余命は半年持たないとの事でした。

「櫛作りは座っててもできるから」と最初は何事もない様な素振りでしたが
ある日からは誰かが肩を貸さないと立てなくなり、車いすで移動するようになり、
とうとう椅子に座っているのが精いっぱいの状態にまでなっても
「工場行くぞ、連れていけ。」と言い続け、
結果として余命宣告よりも生き長らえ・・・いえ、職人であり続けました。


とにかく仕事を休む事などなかった父でしたから、
作業をしている父を見ていると、癌で体が痛み動かなくなることよりも
いつも通りに櫛作りができなくなる事の方が気力を削られていくようでした。
仕事は生きがいというよりも自身の存在意義と感じていたのでしょうか。
近頃はおかげさまでネットショップでお客様からのお声を直接頂けることにとても喜んでいた矢先だったので
「これから面白くなんのになぁ・・・ちくしょう・・・」と愚痴ったのが頭からはなれません。


シャムつげにこだわり櫛を作り続けて約50年以上の父と
材料の入手がほぼ不可能になった時期が重なったのは
ああ、本つげ櫛の時代は終わったんだな。という気がしてなりません。
私は父が作った本つげ櫛のおかげでご飯を食べさせてもらい、学校にも行かせてもらい、
櫛作りを学ばせてもらったものですから、普段は父とシャムつげには感謝の気持ちでいっぱいなのですが
しばらくはそれ以上に寂しさや不安が募るばかりです。


ですが父が亡くなる少し前、私が作った櫛を眺めながら
「いけるいける。商品になるよ。」といってもらえたことが何よりの道標になりました。
材料についても椿や圧縮桧、まだ見ぬ良材もあるでしょうし、まだまだチャンスはあるハズです。
しかも力強い事に、地元の和泉櫛職人の諸先輩からも気軽にアドバイスを頂ける環境にもあります。


しばらくはまだ父の作った櫛が残っておりますが、徐々に私が作った櫛に切り替わっていくかと思います。

今はまだ力不足ですがお客様に愛される櫛を目指して参ります。
至らぬ点も多々あるとは存じますが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。



くしのみせ泉 塩谷正市





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